・ Gのレコンキスタ:第3話『モンテーロの圧力』
怒涛の如く圧倒的に始まってしまった10年台の富野アニメ、その三話。
調査部や教団の内実を見せつつ、姫様と一緒にアメリア国にレッツゴーという展開でございました。
あっという間に河岸が変わる急展開に目が回るが、何故だか面白い。

いや何故だかじゃなくて、色々見せるべきもの見せてるから面白いんすケドね。
富野言語で脈絡ぶっ飛ばして喋るためいまいち間合いの掴みづらい姫様とベルリくんの間柄を、ノレドがちょっかい出す形で強調してるところとかね。
笑いというオブラートで主人公の行動原理を飲み込ませるのは、なかなか巧いパンチだと思います。
服をしっかり着こなす/着崩すことで気構えや状況のON/OFFを見せる演出とかも、解りやすくてグッド。


今回気になったのは、登場人物みんなお行儀がいいところ。
基本敬語だし、重要なエネルギー施設ということもあってか敵の青いのは手加減攻撃してるし、大佐は紳士だし、ラライヤは優しく扱われてるし(重要)。
いや、僕ラライヤ好きなのね。
だから、ラライヤに酷いことしない人たちのこと好き。
特にノレドちゃん。

戦争屋って人殺しの兵器ぶん回してるのに、どこか角のない穏やかで間の抜けた描写は、とにかく血湧き肉躍れ!! というアクション路線とは確実に一線を画しており、このアニメでしか見れない光景になっている。
それでも死人は出てるし、今回ベルリくんが姫様に言っているように付随被害も出ている。
話のスケールがどうなっていくかさっぱり読めないけども、この牧歌的戦争の風景も、ストーリーの進行に従って変わっていってしまうのかなぁ。
そこら辺の片鱗が、教官VSクリムのエース対決に少し見えた気もする。
異常なほど強調される『戦争兵器に平穏を脅かされる野生動物』描写とか、主張を感じられて好きなんですけどね。

主張といえば、コックピット内部での排泄描写をねじ込んでくる演出は、尖り過ぎなぐらい尖ってた。
モビルスーツの芝居付けとかも引っ括めて、『血肉(もしくは糞便)通わせた鉄の兵器を描写したい!』という意志を感じる。
一話に引き続き、モビルスーツに人命救助させてるところとかね。

そこら辺の主張はともすれば雑音になってしまうのだけど、自分個人としてはかなりセンサーに引っかかるノイズであり、こうして勝手に汲みとった意図をペラペラ開陳したくなるくらいの魅力のある描写だとも思う。
なんつーかこう、ザラッとしておるね、洗練されておらず非効率的。
こういうザラザラしたアニメーションはとても好きなので、ツルッとしたアニメが主流な昨今、このアニメが見れることは嬉しい限りです。

三話かけてキャピタル側の描写を終え、今度は海賊ことアメリア国側のターン。
キャピタルの異国描写がかなり好きだったので、また文化圏が変わりどのように異国が描写されるのか。
そして、あっという間にかつての敵と肩を並べることになってしまったベルリくんはどうするのか。
色々気になりますね。

 

・ 天体のメソッド:第2話『ふたりの約束』
透明な神様が君臨する異界と化した摩周湖で、女の子が己のノスタルジアにケリをつけるためのお話、第二話。
過去そのモノであるノエルにフォーカスした第一話に比べ、あの町で唯一正気であるがゆえに狂人に見える女の子、柚季と交流する回でした。
同時に、このお話がミステリでもあることを見せる回だった。

あらゆる物語に秘められた謎とその発掘・調査・暴露は埋め込まれていて、そういう意味ではすべての小説はミステリであるという論を立てれもすると思うのですが、そういう方向とはまた別に、このお話は明確な疑問点を視聴者に提示し、未だ解決していない。
今回で言えば『何故柚季は円盤を追い出したいのか』という乃々香が作中口にした問、そして『何故過去に逢っているはずの二人は、お互いのことを忘却しているのか』という問は、実は両方共明確な答えが得られていない。
『円盤が来て、変わっちゃって』と柚季は答えたが、具体的に何が彼女を激烈に駆り立て、孤独な空回りを続けさせているのか、その原動力に関しては巧妙にはぐらかされ、謎のままだ。
それは恐らく、忘却なのか無言及なのか、ともあれ視聴者にはインサート・カットの形でいくども見せられながら作中人物たちにはないものとして扱われる(そう、上空を支配する透明な円盤のように)過去の記憶と、恐らく繋がっている。
それ故、過去の記憶についての言及がない限り、柚季の空回りには理由が付かない。
『謎が解けたと思えばそれ自体が謎に変わる』という、可変的な問の扱いはやはり、謎それ自体を主題とするミステリに似た扱い方なのだ。

謎といえば町の人達の円盤に対する対応も謎……というか腑に落ちないポイントが多く、考えてみれば『異物である円盤を追い出したい』という柚季の欲求は至極正当なものであり、それがドン・キホーテ的空回りに見えてしまうあの街、予算をつけ行政内部に対応機関まで作ってしまうあの街は、少し変だ。
『何故あの街は円盤を受け入れているのか』という疑問はしかし、円盤が現れて以降町の人達がどう対応したのかが一切説明されないため、満たされることはない。
円盤からよく解らない電波でも出ているのか、梃子でも動かないなら諦めて日常にすり替えるしか無かったのか、はたまた異物を積極的に受け入れる気風のある"優しい人たち"なのか。
そこら辺は今回、謎のまま棚上げされ、ただ受け入れている町の人達と、受け入れない柚季(とそれに協力する乃々香と、乃々香に協力するノエル)という結果だけが見えてくる。
その構図をクッキリさせるために、今回のお話は徹底的に柚季の空回りに付き合わされる乃々香だけが写されるのだ。

作中で謎なのはなにも設定を組み合わせて判明する論理の謎だけではなく、様々な行動を生み出す行動原理もまた、巧妙に隠されつつ効果的にチラホラと見せられている。
夏の北海道を舞台とし、透明感のある美術を駆使して世界の美しさを切り取ってくるこのアニメーション、感情導線の引き方と地雷の埋め方はとても巧い。
何もロジカルな疑問だけが視聴者をフックするのではなく、作中人物の感情の源泉、表面的に見えているものの地金を考えることもまた視聴者を引き込む強力な謎たり得ている(というか、キャラのニンに関わる謎以上に、視聴者をフックする作中要素はない)わけで、此処が綺麗でうまいこのアニメは、とてもいいと僕は思う。
空回りしつつも根本的には義人たる柚季の本性は、彼女が取り戻したい街の風景を乃々香を振り回しながら見せる構成と、豊崎さんのいい塩梅にウザい熱演が咬み合って、今回良く分かった。
そんな風に、画面に映るものでしっかり視聴者を捕まえるからこそ、埋め込まれた疑問の存在に目が行くほどのめり込んで作品を見ることもできるし、ロジカルな謎に対する視聴者の積極的な関与を促すことも出来る。
柚季のことを好きになればこそ、製作者サイドが仕掛けている明確な誘導、『この面白くて素敵な子は、何故こういう行動を取るのだろうか?』という疑問が発生するのだろう。
どうでもいい子のことは、どうでもいいからだ。


フェアな見せ方という意味では、今回のノエルの露出(と隠蔽)も無言のサインに満ちた、馥郁たるものだったと思う。
一話で想像界の産物であることを明示・暗示されたノエルは、七年前のまま時間が止まった永劫のノスタルジアそのものである。
だから中学3年生になり、社会的立場が変わった乃々香の学園生活から彼女は遠ざけられ、置いてけぼりになってしまう。
母親が死ぬ前の世界、円盤が降臨する前の世界に取り残されているノエルは、円盤を排除しなければいけないと主人公たちだけが考える世界とは、違う時間を生きているからだ。

それでもノエルは、乃之香と柚季が企てた"過去の再獲得"に協力する。
『円盤を追い出したい』と乃之香に提案され、逡巡と決意を見せるノエルの表情の変化は見事だ。
やはりノエルは円盤により存在を許されていて、円盤の消滅はそのまま彼女の消滅を意味するのではないか。
そんな風に、僕はこの謎を読んだし、まぁ妥当な読み方だと自惚れてもいる。
そしてそれでも、母が死に円盤がやって来た七年前に決着をつけるため、『乃々香の願いを叶える約束を果たすためにいる』ため存在しているノエルは、"しばらく待って"から協力を約束した。
僕の妄想が正しいとすればそれは自滅を覚悟した約束であり、切なくて哀しい。
早くもどうにかならんのかと思ってならない。
つまりまぁ、僕はノエルのことも『どうでもいい子のことは、どうでもいいからだ』とは思えないくらい、この作品に引っ張り込まれている、ということなのだが。

何故ノエルは、そこまでの決意を秘めて乃々香を助けるのか。
それは柚季(≒先に進まなけれないけない立場を強要される、七年後の世界)と別れ、七年前以前にした母親の回想を断ち切る形で登場した彼女の姿を見れば、言葉にされていなくとも一発で判るだろう。
"童女の姿をした母親"というのはあまりにも解りやすすぎるコンプレックスなのだが、同時にあまりにもよく刺さる卑怯な一発だと思う。
これで主人公が男性ならばマジ見てられないので、乃之香が女の子でよかったと思います。


まぁココらへんの無駄な読みが一切回収されず、『そういうもん』で済まされる可能性もありますけどね!!(予防線敷設で全てを台無しに)
まーそういう不誠実とは無縁のアニメだとは思うんですが、何が起こるかわからんし……ワシも恥かきたくないし……んじゃあドヤ顔で下らん高説とか垂れ流しにしなけりゃいいだろこのトンチキ!!!(自問自答後セルフ殴打)
次回以降、未だフォーカスされていない子たちとの交流が描かれ、謎の開示と更なる謎の発掘が進むと思うわけですが、さてはてこの読み、当たるか当たらないか。
僕はとても楽しみです。

 


・ Fate/UBW:第二話『冬の日、運命の夜』
ぶっ続けの一時間スペシャル、今回は『聖杯戦争開幕!! 凛ちゃんさん可愛い祭り!!」の裏番組、『少年・衛宮士郎の幸福で不幸な学園生活』をお送りします。
そんな感じの実質第四話。
作画もそうなんだが、枠の使い方もむっちゃリッチよなぁ……。

さておき、実質一話を使っての導入編は主に、衛宮士郎の日常と本質にフォーカス。
前半のゆったりとした学園生活の充実感と、後半の現代伝奇バリッバリの非日常の落差が凄く良かったです。
柔らかいライティングが活きてて、画面広めにレイアウトしているせいか、なーんか毎日楽しそうなのよね、エミヤくん。
ワカメとのキャフフも微笑ましいし。

無論見せるべきところはしっかり見せていて、志郎の根底にある過剰なまでの滅私奉公っぷりは幾度もリフレインされてました。
何しろ、死にかけて思うことが「義務なので生きなきゃいけない」だもの。
極限的にトラウマタイズされたぶっ壊れ人間モドキが、あれだけ充実した学生生活を送っているというのも、そう考えるとなかなか皮肉な対比だったネ。


暖かな色彩の夕暮れを過ぎれば冷たい夜が来るというわけで、後半は超人チャンバラと山盛りの事件に満ちた、現代伝奇世界に突入。
相変わらず超人チャンバラの仕上がりは最高でございまして、セイバーさんのパワーゴリ押し・ブリテン式剣術が冴え渡っておりました。
いやー良い、凄く良い。

人外の闘争、突然の襲撃、そして死。
普通の高校生(のフリをしている善行ロボット)衛宮士郎から見たマスターたちの世界は凄みに満ちていて、前回凛ちゃんさんが見てた世界と明確に差をつけてグッドでした。
Gレコが"異国"の話だとすれば士郎サイドから見たFateは"異世界"の話でして、ワケのわからないままグッと引き込まれるパワーに満ちていることは、単純にフックを仕掛けるというだけではなく、運命に巻き込まれた士郎少年と視聴者をシンクロさせる意味でも大事なわけです。
そういう仕事を音楽・美術・演技その他もろもろがしっかりしていた、後半のアクションシーンだったと思います。


仕事をしているといえば、士郎が一発でセイバーにぽわわってなってるのが解ったのはいい。
何度となく映像化された「問おう、貴方が私のマスターか」シーンも色彩綺麗、絵の極めはスーパーバッチリと、クリティカルな仕上がり。
なんだかんだ、あのシーンこそがやっぱFateを象徴するシーンであり、心臓がしっかり作られてると全体の仕上がりに安心できるというか、良いシーンでしたね。

結局エミヤくんはアルトリアちゃんに傷ついて欲しくねぇ一心で今後動くわけですが、そもそも義務感で生き残っちゃってるトラウマ生命体なので素直にそうとは言えず、やれ女の子が戦うな、やれ殺し合いはするなとシチ面倒くさい理屈をくっつけるシャイ・ガイなわけです。
結果『なんかモーぐだぐだしやがってよマジ!!! おめー何がしてーんだよ!!』となること多数なのがFateの困った所だと思うわけですが、そこら辺を先回りして『見てください、これが運命に出会うってやつです!! 何なら"I Will Always Love You"流してもいいですよ! ""ボディーガード"でホイットニーが歌ってたアレ!!!』とばかりに露骨に一目惚れ描写していたのは、とてもいいと思います。
此処で心臓にクピドの矢がぶっ刺さったお陰で、ガングロ厭味マンと化して自分を殺しに来た時も、アルトリアちゃんを見ただけでニヤニヤする大人になっちゃうわけよ。
ああ、俺も好きだよセイバー。

穏やかな日々は終わりを告げ、かくして運命に出会った衛宮少年。
前回好感度を上げまくって初見連中が「オイオイ、凛ちゃんさん全然出てこねぇんですけど。可愛い神輿がスタンバってんですけど」とブーブー言ってたに違いない(妄想)凛との邂逅で、ヒキもバッチリだ。
次回以降は30分進行に戻るんでしょうが、ここまで二時間、キッチリキモを抑えた素晴らしい序盤であり、これからの展開がとても期待できます。
うーん、いいリブートだなぁ!!